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   2004年6月1日号
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新入隊員特集

今日からここで
<武山駐屯地>
31普連・補士、成長の1週間
着隊日。私服の新隊員が武山に到着した
我々は今日より2等陸士となる──。自らの職業に自衛官を選んだ若者たち265名が武山駐屯地に着隊した。3月26日。雨の金曜日。この日を境に青年たちは第14期陸曹候補士として、第31普通科連隊・教育隊で自衛隊生活をスタートする。ごく普通の青年が初めての団体行動、厳しい教育、規則正しい習慣…。「入隊式」までの1週間で、どこまで立派な兵士に近づけるのか。陸曹をめざす青年たちの変身を追った。

雨天着隊
「半長靴25.5!」「どーだ、首きついか?」「よし、じゃあ屈伸」「肩キツイか?7Aあるな」「肩まわしてどうだ」。
 初対面の営内班長が着隊者の被服適合を行う。厳しく情熱的な指導はすでに始まっていた。「ガイヒ」に「ハンチョウカ」。初めて目にする装備品が間もなく支給され、毎日身に付けることになる。
 第31普通科連隊が朝霞駐屯地から横須賀市武山駐屯地に移駐して3年が経つ。少年工科学校や第1教育団、海自横須賀教育隊のある武山は、自衛隊教育のメッカの1つだ。
 今日からここで全課共通の教育を受け自衛隊の「イロハ」から仕込み、各専門分野へと進む。
 彼等は、「続ければ陸曹になれる」曹候補士制度により、将来は金の襟章に手が届く。
 とはいえ今はまだ普通の青年だ。不安な顔、小さい声で書類の書き方を班長に質問している。これでいいのだろうか、と。

入隊式直前の営内。背筋伸ばし新鮮な敬礼。
マトリクスのカプセル
 「よし、上を脱いでたため」「あんまり絨毯踏むなよ」「置いたら来い」「先に紙渡せ」「終わったら戻って報告しろ」。営内班長の機敏な命令口調に幾分戸惑い、不服な表情も。
 不安な、あるいは憮然とした眼差しで、全体的に物静かだ。「じゃないんすか」「していいんすか」。青年の質問に、班長は「うん、いいよ」、あるいは「しろ」「やれ」と軽く指示する。背を丸め大股で椅子に座る青年たちに対し、班長さんは至って冷静。陸士としてのイロハは、これから厳しく指導する

なぜ、入隊?青年たちはどこからきたか
 全国から集まってきた彼等の多くが東部方面隊の各県からの入隊者だ。望みは1つ。職業としての下士官にチャレンジすること。
 「全試験を受験して、補士に合格した」「父が自衛官」「自衛隊に興味があり自ら希望した」「大卒後、公務員と併願受験」。とりわけ消防、警察などとの併願者が目立つも、「自衛隊は災害派遣などで貢献できるところがいい」と殊勝な声が多かった。
 「両親は?」の質問には無反応。「がんばって来いと?」と問えば、そっけなく「ええ、そんな感じ」「免許くらい取れって」と、乾いた返答である。「入隊式には?」と聞けば「いえ」とか「別に」となる。「親」という言葉に拒絶反応を示す。そういう年頃だ。普通の親の子。普通の青年。一週間後に一兵士へと変身を遂げる。

そして入隊式
 4月2日。いよいよ式当日。営内には明るい声が響いていた。班長の問いに、声を合わせて答える活気。カッコつけてカメラに敬礼。気合の作り顔。仲間と携帯で写真を取り合う。そして今日は制服姿。どこか芯の通った様子が見て取れる。早朝から駐屯地に家族が来訪。この1週間の出来事を掲示板で振り返っていた。
 午前10時半。駐屯地内体育館で入隊式が始まった。整然と並ぶ265名に対し、第31普通科連隊長・尾崎裕1等陸佐から執行者の訓示が諭された。
「今の感動のまま、初心を貫いてほしい」また、家族に「情熱ある優秀な子息を預かったことをご両親に感謝します。必ず立派に育て上げるのでご安心下さい」さらに、「初心を忘れたら、ご家族からも激励を」と要望した。
 応えて全新入隊員が宣誓書を力強く読み上げた。
「見ろ、対岸はアメリカだ!」1区隊1班が横須賀市内を楽しく引率外出。話題は健康管理、生活習慣など。「まずは営内の食事を残さず食うこと」と班長。(4月3日)
再会が楽しみ
 茶髪に自ら進んでバリカンを入れ、自発的に背筋を伸ばし、言動を正し…。この1週間で若者は確実に成長を始めた。
両親、祖父母、兄弟と赤飯を囲んでの祝賀会食では、
「どうだ、がんばれそうか」「うん」「食事はどう?」「自分でやれるのか」──。感無量ゆえの淡々とした会話が、感涙を抑えているようだった。
制服を着なければ、一人一人にクセのある普通の子。だが制服を着たからには固有番号で呼ばれる兵士だ。
 個人差があってはならない部分、型通り共通してしかるべき部分を習得し、誰が配属されても同じ力を発揮することが期待される。「本日より、僕は2等陸士」。厳しく鍛えられ、青年は駐屯地で大人になって行く。

ニューフェイスに贈る1点の要望、5つの心
<遠軽駐屯地>
新入隊員48名、全員が大きな声で宣誓
 第25普連は4月11日、駐屯地で3・4月入隊新退院48名の入隊式を実施した。
 午前10時、家族や来賓の見守る中、真新しい制服に身を包み、緊張した面持ちの新隊員はステージ上の連隊長に覚えたばかりの敬礼を行った。
 国家斉唱の後、区隊長の代読により人事発令通知を受け、連隊長に新隊員代表の申告、続いて全員が大きな声で宣誓を実施した。
 連隊長が式辞で、「諸官らの門出にあたり1点の要望と5つの心を贈りたい」と述べ、「真の戦士たれ」を要望。「『素直な心』『感謝の心』『奉仕の心』『謙虚な心』『反省の心』の5つの心を実践してもらいたい」と訓示した。隊員食堂では会食を実施。サロマ町長からの激励の言葉、父兄会遠軽支部長から記念品贈呈があり、対戦車中隊の梶田市長が先輩隊員として歓迎の言葉を述べた。
 入隊者代表挨拶の後、対戦車中隊が担当でアトラクションを実施、最後に美幌町長の音頭で万歳三唱をして入隊行事を無事終了した。

師団412名の新隊員が入隊 盛大に式典
第4師団(福岡駐屯地)
第4師団は4月4日、隷下の普通科連隊が所在する4ヵ所の駐屯地(福岡・大村・小倉・別府)にて、今春入隊の3・4月隊員412名に対する新隊員課程前期教育の入隊式を盛大に挙行した。福岡駐屯地では新隊員と家族および基幹要員が、満開となった桜の下で会食を実施し、和やかな雰囲気の中で入隊を祝った。師団では今日も、それぞれの駐屯地で熱意溢れる教官・助教の指導のもとで、新隊員達が教育に励んでいる。

銃の重さかみ締めて
<第13普連>
「銃と心を磨け」と教育隊長
 第13普連(連隊長・村永一等陸佐)新隊員教育隊は4月7日、新隊員69名に武器授与式を行った。
 体育館横で行われた授与式では、89式小銃が教育隊長から1人ずつ名前を呼ばれ手渡され、銃番号を声に出して確認した隊員達は、銃の重さを噛み締めながら受領していた。 教育隊長である本部管理中隊長は、「銃を磨くとともに心も磨け」と新隊員に要望し、小銃を手にした新隊員は、「身を守り、仲間・国を守っていく大切な小銃なので教育機関中大切にしていきたい」と少し緊張しながらも抱負を語った。

一生懸命頑張ります
国分駐屯地 2等陸士 清田康裕
 ここ国分駐屯地に着隊してから12日が過ぎ、今日4月4日に入隊式を迎え「自衛官になったんだ!!」と改めて思いました。入隊式を迎えるまでの12日間は、何もかもが初めてで、最初のうちは少し戸惑っていたけど、次第に慣れてきました。しかし入隊式を終えた今日からが、すべてにおいて本格的に厳しくなると思うので今まで以上に気持ちを引き締めていきたいです。
 ここに来て、12日、班のメンバーとも打ち解け班内もいい雰囲気になってきていて、。お互いがツラいときに励まし合い、またある時にはお互いがライバルになって刺激しあい、成長していきたいです。
 入隊式の日に、久しぶりに親と会い、とても懐かしい気持ちになりました。でも両親から、たった10日間しかたってないのに、しっかりしたなぁと言われ、自分では変わったのかわからなかったので、そこで初めて「自分は変わってきている」と思えました。そしてまた、これからもっともっと自分を鍛え、次に両親に会うときには今日以上に両親に喜んでもらえるように一生懸命頑張っていきます。
 これからキツいことやツラいことがたくさんあると思いますが中隊長はじめ区隊長、区隊付、そして各班長のもと、わからないことがあったらすぐに班長にきき、苦しい時には班で励まし合い、お互いに切磋琢磨していきたいです。最後に入隊式で宣誓したことを忘れることなく1日でも早く1人前の自衛官になれるように努力していきたいです。

海曹学、補士 新入隊員に野点体験
 4月4日、舞鶴教育隊(司令・中田高芳1等海佐)では、作動裏千家淡交会両丹支部の水島先生他14名の先生方を招聘し、隊司令を始め第29期一般海曹候補学生基礎過程(58名)、第14期海曹候補士課程(125名)および第336期練習員課程(127名)総勢310名に対し、教育隊体育館で野点を実施した。
 茶道に馴染みのない新入隊員は、先生方の指導により、礼儀作法を学び、1つ1つの動作に戸惑いながらも、総員がお茶を堪能した。
 これは茶の湯によって精神を修養し、交際礼法を究めるという茶道を体験することにより、学生が心を落ち着け礼節を学ぶとともに日本の伝統文化に接するきっかけにして欲しいと4年前から始めたものである。
 舞鶴教育隊では、新入隊員に対する情操教育の一環として、これからもこの体験を続けて実施していくことにしている。

初の俸給支給
<秋田駐屯地>
 第21普連(連隊長・松村五郎1等陸佐)では4月16日、新隊員教育隊である第4中隊自習室にて新隊員48名に対し初の俸給が手渡された。
 俸給支給は自衛隊入隊後初めてということもあり、各自には現金で支給された。教育隊長である第4中隊長(三上一紀1等陸尉)から1人1人に手渡された、受領した新隊員は受領金額と異状の有無を大きな声で呼称していた。
 一部の者を除き人生初めての給料ということで給料袋を手にした新隊員は、にこやかな表情で自習室を後にしていた。
 受領時に中隊長から給料の使い道を質問された隊員たちは、大半が「貯金」、「親に仕送り」、その他「思いっきり使う」など、いろいろな応えが返ってきた。中隊長から「思いっきり使うのもいいが、貯金の方もしっかりとするように」と指導があり初の俸給支給は終了した。

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