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   2004年2月1日号
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パラシュートの大輪が習志野に春を…
第1空挺団「初降下訓練」
精鋭380隊員、日頃の訓練成果披露
石破長官「この国の平和を守ってくれると確信」
C-1輸送機から空挺隊員が次々にパラシュート降下
 走る新幹線の窓から飛び降り、東京タワーの高さから地面の一点を目指し、風を切って落下する。勇気と覚悟が必要だ。そんな挑戦を平常心で日夜こなす猛者たちが我が国には存在する──自衛隊で唯一のパラシュート部隊、第1空挺団の「初降下訓練」が1月10日、千葉県船橋市の習志野演習場で行われ、約380名の隊員とヘリコプターなどの航空機24機、車両33両が参加して空挺降下や偵察活動を披露。年始の結束を誓った。団長・寺_芳治陸将補を筆頭に、最年少隊員、各指揮官、曹友会会長がアナウンスとともにヘリからパラシュートで降下。約100名の隊員がこれに続いた。氷点下の上空に咲いた大輪が、習志野に新春を呼び寄せる。
寺崎空挺団長の先導で石破長官が視察に訪れた
 高度340メートルを飛行するC−1輸送機は、速度250キロ。「行くぞ」「おー!」と気合を込め、ハッチから続々と飛び出す隊員たち──。装甲車などが敵陣を突破した後、空挺部隊が降下、あっという間に敵を制圧するシナリオだ。
 空自の航空支援集団、陸自の第1ヘリコプター団、高射学校、第1師団、東部方面航空隊の支援を受け、人員・物資が降下すると即座に戦闘準備に入った。
 年頭を飾る恒例行事を、石破防衛庁長官、中島啓雄政務官が視察。随行者に統合幕僚会議議長・石川亨海将、陸上幕僚長・先崎一陸将、東部方面総監・菅博敏陸将、運用局長・西川徹矢防衛参事官を迎え、1年間の降下訓練の安全を祈り「開傘祈願」した。
自由降下で目標物にピタリと着地(写真・左) 大型ヘリコプターとつたって降り立った隊員がすぐさま偵察行動を開始(写真・右)
精鋭無比
 約1万人の観客が早朝から列を作った。日頃の訓練成果が熱いメッセージとなって、今年も自衛隊への理解と信頼を醸成したに違いない。
 新春の青空に向かって観測用のバルーンがほぼ真っ直ぐに昇った。風速・風向きを測り安全を確認する。部隊降下に先立ち、操作を一切行なわない試験降下のパラシュートが風をみる。降下位置から発煙筒の煙がまっすぐに上空を指した。
 スカイダイビングの自由降下から、潜入と偵察。戦闘懸垂およびリぺリングによる遊撃部隊の空路潜入。UH−1から飛び降りによる降下誘導小隊の潜入に続き、見る見るうちに降下地域が制圧された。
 航空部隊が物料を投下したのち、いよいよC−1輸送機が上空に飛来して、大規模な主力部隊の降下が始まった。
 真っ青な空に次々と咲いた百輪の落下傘に見学者は歓声を上げ、着地の瞬間には拍手が起こった。
 隊員たちは降下後ただちに行動を開始し、重迫撃砲や高機動車、軽装甲機動車などの支援車両を駆使して対空、対機甲など模擬戦闘を披露した。

長官激励
「諸官なら必ずこの国の平和を守ってくれると確信した」
 訓練展示終了後の式典で石破茂防衛庁長官は、東部方面音楽隊の演奏を背に整列した隊員たちを激励した。
 抑止力が効かない時代である今、自衛隊に期待する国民の負託に応え、また国連の主要加盟国として世界の平和に貢献する意義、日米同盟の重要性を強調した。
 リスクを最低限にして国民すべてが支援を惜しまないような環境を作っていきたいとし、「紙切れでしかない条約は国と国が信頼しあって保たねばならない」また「リスクを冒して守っていかねばならないものが世の中にある。それができるのは諸官、自衛隊だけだ」と訓示した。

一糸乱れぬ編隊飛行
ヘリ17機で初訓練
<第22航空群、大村航空隊>
搭乗員はチームごと愛機に乗り、次々に離陸
 第22航空群(群司令・植月政則海将補)と、大村航空隊(司令・高橋大二郎1佐)は合同して平成16年の初訓練飛行を1月7日に実施した。初訓練飛行は、部隊の団結心と士気の高揚を図り航空安全を祈念するもので、可動航空機全機をもって編隊飛行訓練を行った。
 9時30分、格納庫前駐機場で、整補隊・基地隊員の見守る中、整列した航空隊員から、訓練統制官である第122航空隊司令(小田光登1佐)が群司令に対し、訓練開始報告を行った。群司令から、「昨年は四次に亘るテロ特措法に基づく任務行動に対応した。本年も厳しい環境の中で任務に臨むことになる。海上防衛の第一線で勤務できることの誇りと使命感を持って、任務、訓練に邁進せよ。心技体の調和の取れた練成に励め」と訓示を受けた。訓示終了後、搭乗員は横一列に並んだ愛機にチーム毎乗り組んだ。折しも春を思わす霞が穏やかにたなびき、絶好の編隊飛行訓練日和となった。
 10時8分、横一列の17機は、撮影機2機を先遣に、編隊が続いて地上滑走を開始した。編隊は、群司令搭乗の指揮官機を先頭に、第1編隊122空編成の7機、第2編隊124空(司令・土肥修1佐)編成の3機、第3編隊村空編成の4機が続き、大村空港の長い誘導路すべてをヘリコプターが埋め尽くした。
 指揮官機に続き3個編隊が逐次離陸し、長崎諏訪神社に向け南下中、各編隊は機上から航空安全を祈願した。諏訪神社から西行に転じた編隊は、西彼杵半島沖を北上し、九十九島に至った。そこから佐世保に向け東進した編隊は、経路上で佐世保地方総監、第2及び第4護衛隊群司令とメッセージ交換を行い、互いに本年の健闘を誓い合った。佐世保地方総監部では、干支の「申」を人文字で表し、地上からの歓迎を受けた。
 帰投針路に入った編隊は、琴の海で知られる大村湾に進入すると、湾内はその名のとおり穏やかな調べを奏でる琴の音が聞こえてくるがごとく凪いでおり、一糸乱れぬ3個編隊は、指揮官機を先頭に7機3機4機の陣形で大村航空基地上空を通過した。基地通過後反転した編隊は、解散着陸のための陣形を組み直しつつ再び滑走路上空に達すると、先頭機から次々と360度旋回して滑走路に着陸、11時35分全機が駐機場に帰投し、初訓練飛行を終了した。

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