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   2003年10月15日号
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十勝沖地震 原油タンク火災事故
空自が消火剤など空輸支援
降りしきる雨の中で、懸命に消火剤などを卸下する隊員
 十勝沖地震による出光興産北海道製油所の火災で9月28日から10月2日にかけて、災害派遣要請を受けた航空自衛隊が物資・人員の輸送などで消火支援を行い、鎮火に貢献した。
 26日の地震直後に発生した原油タンクの出火に続き、28日の午前10時45分には約2万6千キロリットルのナフサを貯蔵したタンクが出火炎上。苫小牧の製油所には再度、黒煙と炎があがった。
 揮発性の高いナフサ貯蔵タンクの火災とあって、約30台の消防車輌が出動して消火にあたったが、消火剤が不足したため北海道知事が自衛隊に対し災害派遣を要請。これを受けた陸上自衛隊北方総監が各司令官に支援を依頼し、航空支援集団、中部航空方面隊、第2航空団、航空教育集団、西部航空方面隊が連携して消火薬剤の緊急輸送を行った。
 28日にはまず、航空支援集団の輸送機が入間基地から千歳基地までドラム缶12本、ポリ缶154本を運んだ。この1番機を皮切りに10月2日の深夜まで、入間、福岡、小牧、浜松から合計31回にわたって19機のC-1と12機のC-130が空輸を行った。準備には中空、西空、教育集団がそれぞれ連携・支援した。
 千歳基地から苫小牧製油所までの30キロの陸路は、2空団のランクル、カーゴなど約60両が往復して物資を運搬した。
 苫小牧の現場に届けられた泡消火剤は、合計21万リットルに達した。空自の活躍で火災は29日夜には34時間ぶりに鎮火へ向かい、無事に任務を終えた。

1混団は宮古島へ災派
台風14号被害で空輸・給水支援
 第1混成団は、宮古島の台風被害復旧支援のための災害派遣を実施した。
 9月11日、非常に強い台風14号が宮古島を直撃し、島全域にわたる約22,000地帯が停電する被害が発生。
 団は、9月12日午前7時30分、稲嶺沖縄県知事から、「宮古島及び伊良部島に対する治安警備活動要員等(警察官)、「応急対策要員(技術者)及び電力復旧のための資器材の輸送並びに給水支援」の災害派遣要請を受けた。
 これを受けた団は、第101飛行隊(隊長・橋本良輔2陸佐)に対し、那覇空港から宮古空港前県警機動隊員13名、沖縄電力職員62名、NTT職員18名、の計93名とオートバイ2両及び復旧資材の空輸を命じ、12日午前9時53分、那覇空港を出発、台風の余波が続く海上をCH47JA2機、UH60JA1機をもって空輸した。この際、同行した団現地連絡偵察班(7名)は、宮古島の被災状況の把握及び現地での業務調整にあたった。
 また、伊良部島の医療用給水支援を航空自衛隊南西航空混成団に協力要請し、第53警戒隊(宮古分屯基地)の給水車(2t)により延べ20tの給水支援を実施した。
 更に、9月14日、CH47JAによる電力復旧資材(5t)の空輸を実施した。
 9月14日午後7時50分、稲嶺県知事からの災害派遣撤収要請があり、宮古島及び伊良部島への災害派遣を終了した。

安全保障講座開催のお知らせ
 全国防衛協会連合会主催の「防大教授による現代の安全保障講座」が開催されます。国際人の教養としての軍事学や日本の安全保障と軍事科学を学ぶためのもので、申込み方法などは次のとおりです。
 〈日時〉11月13日(木) 12時30分〜16時
 〈場所〉グランドヒル市ヶ谷 瑠璃の間(東・中)=新宿区市谷本村町4の1
 〈講座内容〉
 ▽「国際テロリズム情勢とテロ対策の展開」=宮坂直史助教授
 ▽「イラク戦争後の中東情勢と国際政治」=立山良司教授
 ▽「新しい戦争における軍事力の役割−−9・11に始まった対国際テロ戦争を中心として−−」=小池重倫教授(1陸佐)
  ◇ ◇
 〈聴講申込み先〉住所・氏名を明記してFAXか葉書で、10月30日(木)までに、〒162-0845東京都新宿区市谷本村町4の1市ヶ谷会館内 全国防衛協会連合会(電話またはFAX03・3235・2338)へお申し込み下さい。先着300名まで受付けます。
 ※聴講無料

<論陣>
日本の景気はいつ良くなるか
日銀短観のややこしさ
 わが国の中央銀行である日本銀行は、さきごろ「日銀短観」=企業短期経済観測調査=で「日本の景気悪は底離れした」「大企業、製造業の景況感が示す指数がプラスになった」と発表した。なんと経済の専門家には分かる言葉の連続だが、われわれ素人には「発表の内容や意味が全く理解できないのが実情である。こんなむづかしい発表内容は、いくら政府、日銀が力説しても、新聞の経済欄やテレビの経済ニュースは、「むづかしくて読む気にならない」と読むことを避けるようになってしまう。こうしたむづかしい経済用語や官僚言葉が、これからも、まかり通ると、国民(庶民)は、経済からどんどん離れてしまうと思う。
 政府は「失業率は降下しているし、金融もうまくいっている」というが、庶民は、そんな甘い言葉に乗ろうとしていない。というのは国民は"景気"を肌で感じながら生活しているからである。周囲を見回わすとリストラされた友人、知人は、もう4年もの間、職探しに駆け回っているが「職」は見つかっていないし。減給された給与は一向に上がっていない。結局、少ない収入をさらに切りつめたり、僅かばかりの預貯金をとり崩して生活をしているのである。
 経済官庁は「ぼう大な銀行の不良債権は大幅に減った。政府の指導が良かったからだ」と主張しているが、なんのことはない。たまたま米国の株高に乗って日本の株式価格が値上がりし、銀行が抱えている株価が上昇、それが不良債権を減らしているに過ぎない。
 いまひとつ"円"の問題がある。日銀や経済界は、外国為替市場で「極度の円高になると、日本のデフレが、さらに進む可能性がある。経済的にいうと1ドル115円から118円が妥当値だ」といい。円が115円以上になると、財務省と日銀は、ぼう大な資金をくり出して"1ドル115円ぐらい"の円を実現してきた。円はどんな形で安くなったり、高くなったりしているのだろうか。分かりやすくいうと、よくマスコミで伝えられる「円売り、ドル買い」「円買い、ドル売り」である。円が110円台。すなわち円高になると、日銀は日本国内の外国為替市場に、大量の"円"を売る。円が市場に溢れると、円の価値は下がる。品あまりになるからである。円を売って、品薄のドルを買うとドルの値段は高くなる。この逆の円売り、ドル買いをすると、財界の希望の「1ドル115円や120円になるのである。円高はどうして駄目なのかというと、輸出産業は、取引先からもらう円が少なくなり、採算がとれなくなる。輸入するほうは、安い外国製品がどっと国内に入り、わが国の地場産業を圧迫しデフレが進行することになる。
 日銀による円売り介入は、すでに年間10兆円にのぼっている。介入で買ったドルはどんどん増えており、これが外貨準備高として積み上がっている。そして、日銀は売った円を回収せず、このところ放置したままである。無責任のそしりはまぬかれない。
 そうした"介入"に待ったがかかった。9月に開かれたG7(先進7カ国財務相、中央銀行総裁会議で、間接的ながら「日本はそろそろ円売り介入など外為相場をむやみにいじるな」と、はっきりいわれたのである。これまで日本の外為市場のほか、裏で外国の金融当局に頼んで"介入"し、円を安定させてきたが、いまは、これまでどおりのようにあからさまに"介入"できなくなってしまった。その影響として"介入した"との噂があった日には円は1円か1円50銭ぐらい安くなるが、次の日には元のもくあみ、2日前の水準に戻ってしまっている。
 大企業などは景気を回復させてきているというが、結局は自社社員の犠牲に立っての"ちょっと回復"であって、自力による回復などではない。また、中小企業などは金融機関の貸ししぶり、貸しはがしで経営は一向に上向いていない。経済官庁の見方と、庶民の景気観は、全くかけ離れている。開発途上国援助、イラク復興資金など、これから目に見える形で必要になる。それを増税でまかなうのか?これからの生活が心配である。ちょっとむづかしいことを書いたが、これぐらいは知っておかないと「進路についていけない」と思う。

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