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   2003年9月1日号
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Nice Guys シリーズ 航空自衛隊は技術者集
矢埜3佐はパイロット(救難機)一筋
自衛隊操縦教育「身体で覚えよ」
 矢埜勝義(やの・かつよし)3空佐=那覇救難隊(大分県出身、51歳)
 〈部隊歴〉▽昭和46年航空学生教育隊へ第27期学生として入隊▽47年10月からT-34で飛行教育を開始し、芦屋基地でT-1、浜松基地でT-33の教育を経て、49年7月に操縦士となる▽51年6月から回転翼への転換教育を受け、同年10月に航空救難団小松救難隊所属となり、以後、53年浜松救難隊、58年救難教育隊、62年新田原救難隊、平成4年那覇救難隊、9年救難教育隊、15年那覇救難隊に勤務している。
 〈飛行時間〉▽総飛行時間8,398時問48分▽飛行機858時間12分▽回転翼7,540時間36分
 〈災害派遣への出動歴〉昭和52年8月、北アルプス剣岳で重傷を負った山岳登山者救出を最初に、能登半島沖の行方不明漁船員捜索、南アルプス荒川岳周辺での山岳遭難者救助、遭難民間機乗員の捜索救助、日航ジャンボ機御巣鷹山墜落捜索、石垣島南西約200マイルでの木材運搬船転覆沈没に伴う捜索救助、米軍戦闘機乗員の捜索救助など計35回。
 〈パイロットを目指した動機〉高校卒業後の浪人中、あるアメリカ映画を見て、飛行機からの映像のすばらしさに感動し、余韻に浸っていたその日の夕方に、たまたま部屋の窓から見えたエルロンロールするジェット機を見たこと。
 〈フライトコースでの苦労話、忘れられない思い出など〉T-34メンターでのエアーワークソロで、スピン訓練からの回復操作終了時、スロットルを操作してもエンジン回転が上がらなかった(燃料コックが左右タンクの中間になっており、燃料コック操作時の確認ミス)。
 点検で気付きコックを正常位置にした後、エンジンが正常に作動し始めたとたん、全身に冷や汗が出て足が震え、飛行場にあわてて帰ったこと。
 エンジンの不調に気付いたときは(不調ではなく自分の操作ミス)、恐怖心はなく教官に教わったことを淡々と実施した(緊急操作を身体で覚えるよう教育されていた)。もう大丈夫だと思ったとたんに、事の重大さに気付き怖くなったと推定。自衛隊操縦教育(身体で覚えよ)のすばらしさを認識したものである。
 〈初めて実任務に出動したときのエピソード〉小松救難隊勤務時に、副操縦士として北アルプス剣岳での災害派遣に出動。遭難者のいる場所が高山岳地で、V-107の性能限界付近のミッションであったため、パワー不足により機体が降下した際、遭難者を確認中のクルーが機外に落下しそうになり、他のクルーが身体を確保して事なきを得たこと(後でクルーから話を聞き、機長ともども胸をなでおろした)。
 〈最も困難だった任務〉沖縄勤務時に台湾南東沖で発生した災害派遣である。材木運搬船が転覆沈没したとの情報でMU-2×1機、V-107×2機が出動した。
 V-107の航続距離をはるかに超える場所のため、石垣島で燃料補給後、遭難現場に向かった。遭難現場は、石垣島から南約200マイルで、捜索救出に使える時間は1時間弱しかなかった。石垣島離陸後の30分たった頃、無線に聞きなれない会話が聞こえた。中国語による台湾空軍の航空機間の会話で、遠くに来たことを実感した。
 現場に到着したのは夕刻に近く、多くの木材が数キロに亘って漂流している中を、時間との競争のように捜索した。僚機が生存者1名を自機が2名収容したが、計算していたより余分に燃料を消費していた。燃料計を見ながら、このまま台湾に向かった方が安全か、石垣に帰ることが出来るのか迷っていた頃、台湾のタカンを受信出来たため、正確な位置が判明し石垣島に帰投した。
 着陸時、あと約20分飛行できる燃料が残っていただけだった。
 〈救難機の機長として心がけている事項〉一刻も早く救出する着意を持つことは当然であるが、機長として自分自身を含めた全般状況を客観的に評価しつつ、任務を遂行していくことを着意としている。
 〈座右の銘〉特にありませんが、飛行するに当たっては「自分に妥協しない」ということを心がけている。
 〈後輩に対するメッセージ〉救難任務に誇りと責任を持って、日々努力してもらいたい。
 〈妻に一言〉今のままで、のんびり行こう。

防衛ホーム俳句コーナー
 秋風や橋架かりても鳥寂びて  五貫 愛生
 海女の戸をほのぼのと染め初日影  郷家たもつ
 秋暑しわれを励ます一句欲し  金井 トミ
 明け方の紅く染まりし秋の湖  蓮佛志向子
 湖に差し込む光秋隣  足立 徹
 蜻蛉の安らぐ杭を知ってをり  浅倉サカエ
 晴れ渡る空が大好き赤とんぼ  小川百合子
 音符にも書けぬ音もて虫時雨  小野 道子
 敬老日八十路の父は野良仕事  中園美智子
 静寂と孤独何より秋の夜  箸方 えい
 警衛の顔のやさしき今朝の秋  松村久美子
 男の子蜻蛉つかみて見せに来し  山崎 明子
 手に触れし芒思わぬ柔らかさ  北川 矩子
 踏み入りし神林深く小鳥来る  中野たか江
 陸の灯に馴染むともなく夜釣の灯  佐藤陸前子
 捨てられし杖を拾ひし秋遍路  清家はるみ
 奥祖谷の一体もなき案山子かな  図子 嬰児
 ふくらみし村が凋むよ盆のあと  今村 淑子
 警策の音の乾ける初秋かな  西村 榮治
 ボート漕ぐ声のみ霧をかすめゆく  黒石誠一郎
     選者吟
 残る虫人たのしますほど鳴けず  保坂 伸秋
     (「栃の芽」誌提供)
 「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=仙台防衛施設局総務部・畠中草史氏・電話(022・295・1281)へご連絡下さい。

体験飛行参加者募集のお知らせ 航空自衛隊
 航空自衛隊は、自衛隊の日ごろの活動を多くの国民の皆様にご理解いただくため、自衛隊記念日記念行事の一つとして次のとおり体験飛行を行います。
 〈日時、場所、使用航空機、搭乗人数〉▽11月9日(日)午前10時〜午後3時(1回の飛行時間 約15分)▽航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市稲荷山2-3)▽C-1ジェット輸送機:460名▽CH-47J輸送ヘリコプター:540名(天候不良等の理由により中止する場合がありますのであらかじめ御了承下さい)
 この体験飛行を希望される方は次の要領でご応募下さい。(※応募多数時は抽選)
 〈応募資格〉小学生以上(小学生は保護者の同伴が必要です)
 〈応募方法〉往復葉書により左図の要領でご記入のうえ、ご応募下さい。(2通以上の応募は無効とさせていただいますので御了承下さい)
 *はがき1枚で中学生以上は2名まで応募できます。(小学生同乗の場合は、小学生2名まで・保護者2名までの計4名の応募が可能です)
 *小学生のみでの応募は御遠慮下さい。
 〈締め切り〉10月10日(金)必着
 〈お問い合わせ先〉防衛庁 航空幕僚監部 広報室 電話:03-3268-3111(内線60093)
 〈発表〉返信用葉書の発送をもって代えさせていただきます。
 〈注意〉▽両機種ともに自衛隊機ですので、決して民間機のようにキャビン内が明るく、静かで、乗り心地の良いものではないことをご理解のうえ、ご応募下さい。その他、両機種の特徴等については、航空自衛隊ホームページの装備品ギャラリーにも掲載していますので、そちらをご覧下さい。▽体験飛行搭乗券(当選通知葉書)は、搭乗者の名簿を事前に作成するため、当選者以外の方への譲渡はできません。▽入間基地では、駐車場の用意ができません。民間交通機関の利用をお勧めします。

「セキュリティ」講演会を開催
(財)防衛調達基盤整備協会
申し込みはFAX、Eメール、ハガキで
 (財)防衛調達基盤整備協会(首藤新悟理事長)は、設立の趣旨をふまえ公益事業の一環として、防衛装備品の生産と調達に関する技術情報管理(セキュリティ)をいかにすればよいかについて、主として技術的側面から取り組んでいる。
 そこで、これからの技術情報管理のあり方を考える際の一助にするため、次のとおり講演会を開催します。
 〈日時〉9月11日(木) 13時30分〜16時30分
 〈会場〉グランドヒル市ヶ谷 3階「瑠璃の間」(JR、地下鉄の市ヶ谷駅から徒歩約5分)
 〈演題・講師〉▽「最近の情報戦争の現状と傾向」・杉原修氏(レイヤーセブン?代表取締役社長)▽「情報保全とリスク・マネジメント〜リスク感性の醸成と深化のために〜」・藤本正代氏(中央大学研究開発機構客員研究員・工学博士)
 〈連絡先〉(財)防衛調達基盤整備協会 第1事業部(電話 03・3358・8754、FAX03・3358・8735、メールGspo7446@nifty.com
 〈その他〉(1)会場に制約がありますので、9月5日(金)までに、FAX、Eメールまたはハガキでお申し込み下さい。(2)当日の会場受付は13時からで、来場の際に名刺をお渡し下さい。(3)入場料は無料です。

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