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   2003年7月1日号
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家庭のひろば
狙われる家 安全な家
家屋全体を点検
進入犯罪への備え
 危害が身体に及ぶ侵入犯罪が急速に増えている。昨年度の侵入強盗及び窃盗は32万件で前年比30%増。このほど警察庁生活安全課や全国防犯協会、鍵やドア、シャッター、板ガラス業界など専門家が参加したシンポジウム「多様化する侵入手口に対する対策」(日本ロック工業会他主催)から、防犯の心得を紹介しよう。
<施錠を忘れずに>
 ▽被害にあった戸建の5割は窓ガラスからの侵入で4割がカギの閉め忘れ。一方、集合住宅は4割がピッキングやサムターン回しなどの錠破りで3割が窓ガラスからの侵入、2割がカギの閉め忘れ。閉め忘れが共通して多く、ゴミ出しなど短時間の外出であっても施錠を徹底する。

<窓は防犯ガラスに>
 ▽戸建で特に狙われやすいのが窓ガラス。施錠部分や全体を壊して侵入する。その際手間取ったり大きな音をたてるのは避ける傾向があり、ガラスとガラスの間に樹脂をはさんだ業界認定の防犯ガラスが発売されている。防犯シートを全面に張るのも有効。網入りガラスは簡単に破れ防犯には適さない。
<2ドア4カギ>
 ▽警察庁認定のピッキング対応錠CP-Cマークのカギに換えても、プロの侵入者は新たな手段を開発する。しかし補助錠が施錠されていると、解錠に手間取ると侵入をあきらめる。1ドア2カギは当然で、外国並みにドアも二重、カギも二重の2ドア4カギがより望ましい。
<訪問販売に注意>
 ▽電話や訪問販売でカギの見直しやリフォームを持ちかける中には、侵入の下見を兼ねていることもある。信頼できる業者以外に家屋の情報を流さないことだ。カギの相談は最寄の警察か、技術や情報漏えい防止で一定水準のある日本ロックセキュリティ協同組合(電話 03・3265・0505)加盟の業者を選ぶ。
 さらに、近隣で声を掛け合う地域の自治力や防犯力が、これからは必要とされる。

ホームライブラリー
「和食の力」 小泉和子著
 調理済み食品をはじめとして食のインスタント化、外食化が進み、最近では骨なし魚まで登場している。確かに女性の社会進出、老人・単身者世帯の増加などを考えれば、その状況はやむを得ない面もある。
 「しかし、もはや日本の食文化そのものの枠組みが内部から崩壊しているのではないか」と著者は警告する。
 かつて、三度の食事は家庭教育の場でもあり、食べていた「和食」には、さまざまな知恵と工夫があり、人を作る力があった。例えば和食には出汁が大きな要素だ。煮物などはそのうまみを含ませる料理だ。そのために、素材に合う出汁を知らなければならないし、魚にしても一匹を部位による使い分けをすることが必要とされる。また付け合わせにはどんなものがいいかなどの知識も必要だ。そのようなことを日常的に身につけていたのがかつての日本人で、いつでも材料が使えるようになっていたから、和食を作るのも簡単だった。
 ところがその和食を作るシステムが崩れてきたから、和食は面倒となるのである。著者はそのシステムの中にしつけも含まれていたと言う。食事が変わり、家事の形が変わる中で、私たちが暮らしの中で何を落としてきたのか、一つの示唆を与えられる内容だ。著者は日本の家具史研究の第一人者であり、戦後の庶民住宅と生活の場を残そうと自宅を「昭和のくらし博物館」として開設した。新書判、213ページ。(平凡社新書・本体720円)

今年の風鈴アラカルト
 かすかな風にもさわやかな音色で涼しさを演出する風鈴は、日本人の暮らしの知恵。このほど東京・恵比寿のギャラリーで風鈴の魅力をもっと引き出そうと陶芸家やガラス工芸家たちの80点の作品が展示された。さて現代人のアイデアは…。
 【遠い波の音誘う】
 独特の半透明な吹きガラスはレトロな雰囲気一杯。クラゲ型で舌には3センチほどの細長いガラス棒。その先端に下げられたレモン色とブルーの2枚の平たい貝殻が、清涼感のある音色を奏で、遠く波の音を誘う。
【和風にも洋風にも】
 黄瀬戸や織部あるいは白磁など陶磁器製の提灯型は、和風・洋風のインテリアのどちらにもなじむ。真ちゅうの舌で陶磁器独特の澄んだ音色が響く。
【ユーモラスに】
 釣鐘型の吹きガラスの中の舌に粘土のネコを下げると、高くて軽い音を出す。ネコの下には和紙の大きな魚を下げ、思わずほほえむユーモラスなデザイン。
【澄んだ昔色】
 銅線で編んだ高さ4センチほどの鳥かごのなかに真ちゅう棒を下げたもの。金属同士が共鳴し、澄んだ高い音が楽しめる。オーナメントとしてずっと部屋に飾りたいほどかわいい。

家庭メモ
 【子供服を買うとき】
 成長期の子どもの身体は、全体が平均して大きくなるのではない。腕、肩、腰とアンバランスなので、現在着ている服のどの部分が窮屈なのか点検し、新調する服のサイズの目安をつけること。
 【ドライハーブを】
 つぼみが膨らんで花が咲きそうになったハーブ類は、よく晴れた日の午前中に摘み、鼠通しがよく直射日光の当らない場所で自然乾燥させると、ほんのりした香りが気持ちを和ませる。
 【ソフトなハンバーグ】
 ひき肉に食パンを小さくちぎって加えると、ふっくらとしたソフトなハンバーグが作れる。ただし、食パンはひき肉の4分の1以下にすること。
 【柔軟度チェック】
 ときには身体の筋肉の柔らかさチェックを。両手を組んで耳の後ろから頭のてっぺんへ。まっすぐ立ち、足を曲げないで手を床に。ひじがまっすぐ伸びるか、手が床につくか点検。
 【デジカメの選び方】
 画像をパソコンに取り込んでメールで送るだけの場合は、高い画素数を使うと表示や送信に時間がかかる。年賀状や写真プリントに利用したいときは、画素数が少ないときれいに仕上がらない

宇宙を思わせるメロディー
独自の演奏技法で世界へ
尺八に新しい風
GAKUZINZAN 岳人山
 尺八といえば、音を出すのが難しい、その音色は独特で現代風ではないなどの理由で、愛好者も限られている。その尺八を世界に通じる独立した楽器として演奏したいと活動をしている奏者がいる。その名は「GAKUZINZAN(岳人山)」。一度、演奏を聴いた人は、「これが尺八の音?」と驚いている。
 このほど訪れた北海道の特別養護老人ホーム「函館カリスタの園」で、フルートあるいはオーボエのような音色に宇宙を思わせるメロディーで演奏する岳人山の尺八に、目を閉じてじっと聞き入る人、遠くに思いをはせる人、お年寄りたちはさまざまな反応を見せた。同園創設者のフィリップ・グロード神父は、「彼の尺八は携帯のパルプオルガンか」とも評した。
 また3月末に岐阜県根尾村で1,500年の歴史を持つ薄墨桜の下でのコンサートには、尺八を初めて聞く多くの人たちにも感動を与えた。
 尺八の都山流大師範でもある橋本岳人山さん(44歳)は、全国大会でも優勝したことのある実力派で、全国に弟子も80人いる。しかし「尺八の愛好者も激減し、高齢化している。このままでは、尺八自体が衰退してしまう」という危機感と同時に、一方では楽器としての尺八の可能性を感じていた。従来の演奏法ではなく、息を吹く角度や量を変えることで、さまざまな音が出る。その演奏法でオランダ人の友人のバイオリンと二重奏をしてみたところ、違和感なく合奏できた。
 さらにその友人の企画で、8年前にウィーンとザルツブルグで弦楽合奏したが、2日間の公演が3日に延びるほど好評だった。それ以後、自信を持って様々な奏法を使うようになった。
 日本人としてではなく、世界にも通用するようにと、名前も国籍不明の「GAKUZINZAN(岳人山)」とし、CDも制作。各地での演奏会を企画している。伝統楽器の尺八が新しい楽器として注目され、さらに新しい音楽を生み出す。まず一度、その音を聞いてみてはいかが。

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